庵のコーヒー歓談記

高知県香美市のコーヒー屋「焙煎香房・古具 庵」のブログです。<br>781-4222</br>

世界第一位の生産量~ブラジルのコーヒーについて~

こんにちは、庵の柴田です。

 

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世界は広いです。

イエメンのモカ港から海外に出たコーヒーは、現在世界中で愛飲されていますね。

コーヒーは赤道の南北25°の地域で主に生産されており、この領域を特に「コーヒーベルト」と呼びます。

 

赤道直下の生産地では年に2回収穫、それ以外は1回収穫していますが、少しややこしいのでまた個別にご紹介していきますね。

 

さて本題に入りましょう!その中で世界第一位の生産量を誇る国が、ブラジルです。

ブラジルを語らずして、現代のコーヒー事情は語れません!

 

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実はブラジルは、国の北部が赤道直下となります。

しかしコーヒー生産が盛んなミナスジェライス州は国南部に位置するため、赤道からかなり離れます。

なので、一部赤道直下なのですが、年1回の収穫なのです。ややこしいですね。

 

ブラジルではアラビカ・カネフォラ種の両方が収穫され、生産量も半端なく世界中に輸出されています。

 

焙煎の方法や豆の種類の酔っても大きく変化するので一概には言えませんが、大まかな特徴として、

 

甘味を伴った柔らかい苦味と適度な酸味

 

と言えます。簡単に言うと、「マイルド」なのです。

 

大量に生産され供給量も十分、そして飲みやすいことから、ブレンドコーヒーのベースとして大活躍!当店のブレンドにも使用していますよ笑

 

主要な精製方法は、ナチュラル、パルプナチュラルが挙げられます。

 

そんなブラジルなのですが、生産量以外にも重要な見方があります。

 

実は、ブラジルの代替えとなる珈琲が見当たらないのです。

 

ブラジルのコーヒーの特徴は…

 

・大量に生産されている→価格が比較的安価

・製法がナチュラ

・ブラジル特有の「マイルド」

 

何らかの事情でブラジルのコーヒーの代替を探さなくてはならなくなったとき

 

「この国のコーヒーなら今までのブラジルと変えてもエエやろ!」

 

とはなかなかならないのです。

 

頑張れブラジル!君はなくてはならない唯一無二の存在なのだ!!

 

それではまた!

コーヒーの作り方~精製方法とは~

こんにちは、庵の柴田です。

 

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コーヒー豆は、「コーヒーノキ」から収穫される実「コーヒーチェリー」の中に含まれる種です。

 

私たちコーヒー屋はこの「種」にどうやって熱を加えてやるかに日々頭を悩ませながら

焙煎しております。

 

さて、読者の皆様が自家焙煎珈琲店で豆を購入するとき、「ナチュラル」とか

「ウォッシュド」、「ハニー」などの表記を目にされたことがあるかと思います。

 

これは、どうやって実から種を取り出して、「コーヒー豆」として完成させるか

 

この方法を指す言葉です。主に以下の4種があります。

 

1、ナチュラル(非水洗式)

2、ウォッシュド(水洗式)

3、フリーウォッシュド

4、スマトラ

 

簡単に特徴を書いていきましょう。

 

1、ナチュラル(非水洗式)

収穫されたチェリーをそのまま乾燥させ、一定期間後に中の種を取り出す方法です。

伝統的な方法で、ブラジルやエチオピア、イエメンなどで行われています。

果肉をついたまま乾燥させることから得られる「独特な風味」が特徴。

 

2、ウォッシュド(水洗式)

名前の通り、大量の水を使い、複雑な工程を経て実から種を取り出します。

世界中で広く行われており、特にコロンビアのコーヒーは99%ウォッシュドです

工程中「発酵槽処理」されたものを、特に「フリーウォッシュド」と呼びます。

 

3、パルプドナチュラ

ブラジルで開発された精製方法で、ナチュラルと少し違います。

果肉を取り、粘性のある「ミューシレージ」という物質が表面に付着している状態で、実を乾燥をさせます。

「ハニープロセス」とも呼ばれおり、頭を混乱させる精製方法かもしれません笑

 

4、スマトラ

 

インドネシアスマトラ島で一部行われている精製方法です。

マンデリンスマトラ式の精製方法で作られるコーヒーの代表格で、収穫期と雨季が重なる関係でこの方法が行われているようです。

名前の通り、他の地域には見られない少し特殊な精製方法といえるでしょう。

 

以上になります。

 

全ての特徴を書くと非常に長くなってしまいますので、ここではほんの一部しか書いておりません。

 

ご興味を持たれた方は、ぜひ一度調べていただくか、お店の人に聞いてみてください!

 

きっと喜んでお話をして下さることでしょう。

 

当店にお立ち寄りいただいた際は、ぜひ私にもお尋ねください。

 

それでは!

コーヒーの起源「モカコーヒー」 風味編

こんにちは、庵の柴田です。

 

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前回、モカコーヒーの歴史について少しふれました。

 

では、モカコーヒーの「風味」はどのようなものなのでしょうか?

 

そもそも一般的にモカコーヒーとは、エチオピア産、イエメン産のコーヒーのことを言います。

 

イタリアでは「モカ」というとマキネッタで淹れたコーヒーを指しますし、「カフェモカ」という飲み物もありますのでややこしいですが…これは例外と考えてください。

 

モカコーヒーに共通な特徴として、モカ香(モカフレーバー)」が挙げられます。

 

モカ臭、と言ったりもしますが、モカコーヒー独特の香りです。これは生豆の時にも、焙煎してコーヒーを抽出した時にも感じられる独特な香りです。

 

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上図は当店ネットショップで使っているコーヒーの風味特性レーダーチャートです。

 

モカ香はどの特性にも当てはまりません。モカ独特の、特殊な香味なのです。

 

そして、モカ香は好みがはっきり分かれます。好きな人は好きだし、苦手な人は、

 

「コーヒー大好きだけど、モカだけはイヤ…」

 

なんて方もいます。実は私の妻も、モカが苦手です笑

 

イエメン産のモカといえば、モカ・マタリ

 

他にもありますが、お店に出回っているイエメン産コーヒーは、ほとんどコレです。

 

エチオピア産のモカといえば、下の4種類

 

モカ・イルガチェフェ(モカ・シダモ)

モカ・ジマ

モカ・ハラー

モカ・レケンプティ

 

モカ・○○となっていますが、○○の部分は全て地名です。

 

シダモ地区の中に、イルガチェフェという地区(地域?)があります。

 

高知県の、香美市、みたいな感じです。

 

イルガチェフェについてなぜこのような書き方をしたかというと、現在イルガチェフェのコーヒーが風味の良さから非常に注目されているからです。

 

イルガチェフェ以外が美味しくない、というわけではありません。

 

一種の「流行」のようにも思えます。

 

上記エチオピアの4種のコーヒーは、それぞれに個性があります。

 

ハラーやレケンプティも、しっかり管理されたコーヒーは素晴らしい風味を持っています。

 

機会がありましたら、ぜひ試してみてくださいね。

 

苦味や酸味については、焙煎の仕方などによりガラッと変わりますので、ここでは割愛します。

 

それではまた!

 

 

 

 

 

 

 

 

コーヒーの起源「モカコーヒー」 歴史編

こんにちは、庵の柴田です。

 

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赤いポイントの場所を少し意識しつつ、地図をご覧ください。コーヒーにとって、非常に重要な場所です。「でした」と書いた方が適切かもしれませんが…

 

今日はコーヒーの起源について書きたいと思います。

 

リンゴに”ふじ”や”ジョナゴールド”といった「品種」があるように、実はコーヒーにも品種があります。

 

大きく”アラビカ”や”カネフォラ”の2種があり、ここからさらに細分化されて様々な品種(ティピカやブルボン、ロブスタなど)が挙げられますが、一般的に風味は”アラビカ”の方が優れています。

 

さて、一般的に呼ばれている”モカコーヒー”の「モカ」とは、実は品種を示しているのではありません。

 

それなら、「モカ」っていったい何なのかと…ここで再び地図の登場です。

 

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コーヒーの起源は古く、発見の歴史としては「イエメン説」と「エチオピア説」がありますが、流通の歴史としては、6~9世紀ごろにエチオピアからイエメンにアラビカ種が伝わったといわれています。

 

そこから長い歴史を経て、1699年に東インド会社によってイエメンからジャワ島に伝わり、さらに世界中に広まっていったのです。

 

この時代、流通の手段は船しかありません。

イエメンの「モカ」という地域の港「モカ港」からコーヒーは輸出されたのです。

 

もうお気づきかと思いますが、地図上の赤いポインタの場所が「モカ港」です。

 

世界にコーヒーが広まっていったきっかけとなる、コーヒーの聖地ともいえる場所なのではないかと私は思っています。

 

現在色々な意味で渡航がとても困難な状態ですが、いつか訪れてみたいですね。

 

コーヒーの抽出するのに、最も大事な道具は何でしょうか?

こんにちは、庵の柴田です。

 

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美味しいコーヒーを飲むには、良い豆から上手にエキスを抽出しなければなりません。

 

良い豆とは?ズバリ「鮮度・保存状態の良い、自分が好きな風味を持つ豆」です。

 

・鮮度・保存状態が良い

・自分が好きな

 

鮮度がよくても自分が嫌いな風味の豆ではいけませんし、自分が好きでも鮮度が低い豆は美味しくありません。

 

美味しいコーヒーを楽しみたいなら、この両方の条件が揃っていること大事です。

 

 

自家焙煎店のお店の豆は、この両方を満たした状態で購入できるのでおススメです!

 

さて、材料が調達出来たら、次は道具ですね。

 

ここではペーパードリップで淹れる場合を考えましょう!

 

最低限必要な道具は、

 

ドリップポット、ドリッパー、フィルター、サーバー、温度計

 

ですね。

 

この中で超大事な道具が2つあります。フィルターと温度計です。

 

100均にもフィルターはありますが、ダメです。申し訳ありません。

 

安定した味を出すのに、湯温は超重要な要素。よって湯温を測る温度計も必須!

 

正直、後は何でもいいです。好きなポット、好きなドリッパーやサーバーで楽しみましょう。

 

お気に入りのツールを見つけることもまた、コーヒーの楽しみ方の一つですね!

 

それではまた!

 

 

 

焙煎過程その4~焙煎~

こんにちは、庵の柴田です。
 
いよいよ、焙煎についてお話をしたいと思います。
 

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コーヒーは世界中で飲まれており、世界中で焙煎されています。
 
世界中で様々な焙煎方法がありますし、日本でも様々なやり方で焙煎をされています。
 
焙煎について全て書こうとすると本1冊分の容量になりますので、庵の焙煎核心部についてのみ触れていきますね。
 

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お店で使っている焙煎機は、最大容量1kg、「半熱風式」の焙煎機です。
 

釜は鋳鉄製で、「蓄熱性」に優れています。

 
焙煎はこのような業務用マシンを使わなくても、パイナップル缶とカセットコンロでも焙煎は可能です、が!!
 
一年中安定した品質で、ブレない味を作りたい!と言われると、残念ながらそれは不可能です。
 

この蓄熱という性質こそ、手編み焙煎など家庭での手軽な焙煎と一線を画す決め手の一つともいえるのです。

 
上の写真、見えにくいですがデジタル温度計が181℃を示しています。
 
この温度は、当店の場合(ここ重要!)大体1ハゼというタイミングが終わったころの温度になります。
 

そしてこのタイミングは、春夏秋冬どの季節においてもほぼ変わりません。

室温の差により温度の上がりやすさなどは変わってきますが、それも微々たるものです。
 
ところで他店様ではマシンを改造されているところもあるようですが、当店のマシンは改造していません。
 
その代わり、師匠にいただいた補助部品を取り付けて「より焙煎しやすいマシン」にしています。
 

改造を施して、春夏秋冬でタイミングがずれてしまっては、本末転倒。

 

改造ではなく、少しでもずれを少なくするための「改良」が大事なポイントなのです。

 
…さて、焙煎を語るうえでよく注目されるのが、「排気ダンパー」という部分の操作です。
 
これは釜にたまった熱(空気)の放出量を変える装置で、これを焙煎中いかに操作するかがよく話に上がります。
 

庵のコーヒーは、焙煎中排気ダンパーには一切操作しませんし、触れもしません。

 
理由をここで書くと長くなるなりますので、また別で書こうと思います。
 
焙煎中に排気ダンパーを動かさないことは、焙煎前に豆を洗うということと同じくらい自然なことです。
 

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上記写真が焙煎機の排気ダンパーです。
 
「S」はShutで閉める、「O」はOpenで開ける、という意味です。
 
・円形のハンドルを「S」方向に回すと、ダンパーが閉じますので排気量が減ります。
 
・円形のハンドルを「O」方向に回すと、ダンパーが開きますので排気量が増えます。
 
上記のとおり焙煎中は操作しません。
 

では何のためにダンパーが存在するのか…それはおいおい話していきましょう。

 

しっかり洗い、丁寧に乾燥…そのうえで高火力でふっくら香り豊かに焙煎されたコーヒー

 

庵のコーヒーは「当たり前のことを丁寧に積み重ねてきた結果」ともいえるのです。

 

当店ネットショップはこちらから…https://www.cafe-iori.net/

 

自然にすべきことを当たり前に行うことによって、必然的に一年中安定した美味しさを生み出すことができます。

 

本当に美味しいコーヒーをお求めの方は、ぜひ一度お試しください。

 

それではまた!

 

 

 

 

 
 

焙煎過程その3~乾燥~

こんにちは、庵の柴田です。
 
さて、洗った直後の豆は以下の写真のようにして乾燥させます。
 

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豆表面の水分をタオルでしっかりふき取り、新聞紙の上に敷いて風力と日光で乾燥させています。
 
季節や天候にもよりますが、乾燥の所要時間は平均6時間といったところでしょうか。
 

そしてこのタイミングで、黒豆や割れ豆など、いわゆる欠点豆をはじき出します。

 
洗っていますので、欠点豆の判別もしやすいのです。
 

焙煎とは、つまるところ「熱加工」

 
熱により豆内部で化学変化を起こさせて、コーヒーの味を形成させていきます。
 

何度も実践している中で実証済みなのですが、豆の乾燥が不完全だと焙煎に悪影響を及ぼします。

 

つまり、「乾燥が不完全な豆は焙煎時間が長くなり、味もぼやけてしまいやすい」のです。

 
洗濯して、脱水して乾かすのとしないで乾かしたのと乾燥時間違いますよね。あれに似ています。
 
高知県は太平洋側で冬場はよく晴れて湿度も低いため、気温が低くても乾燥させやすいです。
 
最も乾燥が難しい時期は梅雨時期です。
 
基本雨の日は焙煎しませんが、この時期だけはどうしようもありません。
 
文明の利器をフル活用して、豆を乾燥させます。
 

ところで長時間乾燥すればいいかというとそうではなく、あまり乾燥させすぎるとよくない現象が発生します。

 
例えば豆が割れる、とか…割れてしまった豆は焙煎する前にはじきますので、出来高が減ってしまいます。
 
ちょうどいい乾燥タイミングを見計らって、焙煎する。
 
庵のコーヒーはこのような過程を経て、ようやく焙煎されるのです。
 
次はいよいよ焙煎についてです。
 
当店ネットショップはこちらから…https://www.cafe-iori.net/
 
それでは。