庵のコーヒー歓談記

高知県香美市のコーヒー屋「焙煎香房・古具 庵」のブログです。<br>781-4222</br>

コーヒー産業を支える国~ベトナムとその周辺国のコーヒー~

こんにちは、庵の柴田です。

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なんやかんや忙しくしているうちに冷え込みが強くなってきました。

先日雨が降った時はもう寒くて…今季初!庵に炭をくべました。

 

コーヒー関係ないって?いえいえこの業界、まさにこれからがシーズンなのです。

寒いときにホッと(Hot)一息コーヒーを…

 

今日はベトナム周辺国のコーヒーを紹介していきたいと思います。

全部上げたらキリがないので、特に注目したい以下の国をご紹介します。

 

ベトナム、インド、中国

 

インドと中国は、おまけ程度と考えてください。

まずは位置関係を見てみましょう。

 

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北半球アジアの国として、地図には他にミャンマーラオスといった国々が見られますが、これらの国でもコーヒーは生産されています。

 

それでもやはり、ベトナムに注目したいのです。

 

なぜなら、実はベトナムはコーヒー生産量世界第二位の国だからです。

(第三位はインドネシアですが、ベトナムの半分以下の生産量)

 

あまり知られていませんが、ベトナムではカネフォラ種のコーヒーを大量に生産しています。

生産されているコーヒーのほとんどがカネフォラ種といってもよいでしょう。

 

カネフォラ巣はアラビカ種と比較して、風味については太刀打ちできません…ですが!

 

アラビカ種と比較してより低地で栽培でき、病害虫にも強いので、低コストで大量に生産することが可能です。

 

コーヒーは世界中で、あらゆる形で飲まれています。

 

なかでも缶コーヒーやインスタントコーヒー、宿泊施設などで使われるコーヒーなど、大量消費前提で業務用で使われているコーヒーはカネフォラ種に相当頼っています。

 

もしベトナムのカネフォラ種が何らかの理由で生産もしくは輸出不可となった場合、コーヒー業界に大打撃となることは避けられません。

スペシャルティ―コーヒーが台頭している現在、カネフォラ種に目を向けられる機会も減ってきたように思いますが、なくなると非常にマズイのです。

 

また、あまりピンと来ないかもしれませんが実はイタリアが非常に困ると思います。

 

イタリアで飲まれるコーヒーはエスプレッソが主流で、特にエスプレッソイタリア―ノ」と呼ばれています。

 

このエスプレッソイタリアーノは5種以上のブレンド豆を使用する(定義がありますがここでは割愛)のですが、実は敢えてカネフォラ種を使っています。

カネフォラ種はアラビカ種にはない独特の風味と、苦みが特徴ですが、これがエスプレッソイタリアーノのパンチとなっているのです。

 

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前回ご紹介しましたインドネシアもカネフォラを大量に生産(コーヒー生産の9割がカネフォラ種)していますが、それでもベトナムはまさに桁が違います。

 

そういえば、最近ベトナムのカネフォラの中でも「美味しい高級なカネフォラ」を生産しようとする試みもあるようで、一概にカネフォラがマズイとは言い切れません。

アラビカ種よりカネフォラ種が美味いってことも、ありえるのですかもしれませんね。

 

だいぶ長くなりましたので、最後にインド、中国について簡単に書きましょう。

 

・インド

 

紅茶で有名なインドですが、コーヒーも生産しています。

インド・モンスーンというコーヒーが有名で、その製法も特徴的です。

これは豆が水に浮いてしまうほど軽く、風味も独特なので、ブレンドコーヒーやエスプレッソの隠し味として使われることもあるようです。

 

・中国

雲南地方でコーヒー生産が粉われており、ここ数年で品質も向上してきたとの話を聞きます。それはともかくとして…

 

何かと世間を騒がせ気味の中国ですが、コーヒー業界でも同じです。

この記事を書いている数日前、生豆業者からあるコーヒー豆のオークションロットが入ったとの情報が入りました。

 

パナマ エスメラルダ農園 ゲイシャ」

 

アッ!と思われた方もおられるでしょう。ここ数年で一躍有名になり、価格は青天井。

オークションロットは、カネフォラ種の100倍以上のお値段!全に異常です。

 

この背景に実は中国の存在があります。

その場にいたわけではなく聞いた話ですが、中国さんがキロ30万で落札したとか…

そりゃこんなことになるわけです。

 

オークションロットでなければ同農園の豆でもこれより低価格(といっても高額ですが)のプライベートコレクションという商品もありますので、どうしても飲みたい方は探してみてください。

 

ちょっと話がそれましたが、中国の場合コーヒーについては「農園」より「強大さ」の印象が強いですね。

 

 

今回はここまでです。

生産国の話を続けてきましたが、次回から別の話題を取り上げていきます。

 

それではまた!